相続税対策として知られる生前贈与ですが、お金だけではなく不動産に関する生前贈与も相続税対策につながります。では、実際にどうすれば相続税対策につなげることができるのでしょうか。今回は不動産活用贈与についてご紹介します。

相続時精算課税制度で相続税対策!

節税に活用できる制度は複数ありますが、不動産を活用した生前贈与を行う場合は「相続時精算課税制度」が最も節税につながるといえます。今まで不動産による節税対策を行う場合、賃貸マンションやアパートを経営してその家賃収入から通常贈与を行うか、もしくは不動産管理会社を設立して相続したい人を役員とし、給料を支払う形で節税対策が行われてきましたが、この制度を活用すればそのようなことをせずとも、アパート1棟までを相続人である子供に贈与することが可能となったのです。

しかし、アパート1棟を相続したとしても節税できるというわけではありません。賃貸マンション・アパートを経営されている場合、相続時に小規模宅地の評価減が適用されないものしかこの制度を利用することができません。小規模宅地の評価減では、その宅地において条件を満たすと評価額が50%減額され、その価格で税金を計算します。これにより相続税が減額されるのですが、適用される賃貸マンション・アパートに関しては相続時課税精算制度が受けられなくなってしまうのです。そのため、適用の対象となるのかを事前にチェックする必要があります。また、この制度を活用すると2500万円までが贈与税の非課税対象となります。住宅取得資金だとさらに1,000万円プラスされ、合計3,500万円までの贈与税が非課税対象です。ただし、2,500万円を超えてしまった場合は一律20%の贈与税が課税されてしまうため気をつけましょう。

多くの土地を持っている場合

先程紹介した方法は基本的にアパートやマンションといった一つの不動産に関するものですが、土地をたくさん所有されている方ではどのような節税対策を行っていかなくてはならないのでしょうか。まず大切なのは、所有している土地が多い方の場合、生前贈与を行うだけでは微々たる節税効果しか得られないため、様々な制度を活用する必要があることです。

活用例としては、上記でも挙げたような小規模宅地の評価減を利用して相続したり、ただ土地だけを贈与したりするのではなく、その土地に予めアパートやマンションを建設し、ある程度収益力が出たところで生前贈与を行ったり、住宅取得資金として特別控除される3,500万円までを贈与したりするなどです。特に、土地だけを所有している方は、なるべく収入力のあるアパートやマンションを建設し、それから生前贈与を行うと節税対策にもつながるため、建設に関して検討してみるとよいでしょう。

相続時精算課税制度の活用事例について

相続時精算課税制度を活用した場合、実際はどのような贈与となり、どれだけ節税できるのかご紹介します。まず、相続時精算課税制度を利用するための設定についてです。時価で1億円、固定資産税評価が8,500万円のこれからも地価が上がると見込まれている土地を購入し、その土地に全額借入で1億円となるアパートを建設したとします。このアパートと土地を子供に贈与する場合、どれくらい節税できるのでしょうか。

1億円で購入した土地とローン1億円で建てたアパートを子供に贈与する場合、借入金となる1億円も一緒に贈与されることになります。ここで注目したいのは建物の評価額です。今回は土地が1億円、建物が1億円ということで、合わせて2億円分が評価されます。しかし、ここから1億円のローン残高を差し引き、さらに特別控除となる2,500万円を引くと実際の評価額は7,500万円となるのです。ここから贈与税が計算されるので、結果的に1,500万円の贈与税で合計2億円もの資産を手に入れることができるということになります。また、アパートを購入したことにより家賃収入が期待できるため、この収益も合わせると2億円以上の資産を贈与したことになるのです。ちなみに、評価額は固定資産税評価ではなく購入時の時価で計算されるので気をつけましょう。

ただし、注意しておかなくてはいけないポイントがあります。それは、アパートを購入した時のローンです。贈与した際にローンも一緒に贈与されることになるので支払いは子供が行わなくてはなりません。アパートの家賃収入で賄うことも可能ですが、立地などによっては返済が難しくなってしまう可能性もあるため、相続時精算課税制度を活用する場合はよく検討してから利用するようにしましょう。
生前の不動産活用贈与によって、子供や孫などの家族に対して負担の少ない贈与を行うことも可能となります。もしも土地・不動産を所有している、もしくは節税対策を考えているという方は、不動産を活用した相続時精算課税制度を利用してみてはいかがでしょうか。