遺産相続を考えた際にどうしてもネックな部分となるのが「相続税」です。節税をしなくては相続人の負担が大きくなってしまいます。節税対策には様々な方法があるのですが、なかでも切り札といわれているのが生命保険です。しかし、どうして生命保険を利用すると節税対策につながるのでしょうか。今回は生命保険が相続の切り札といわれる理由についてご紹介します。

なぜ生命保険が切り札といわれているのか?

生命保険が切り札と呼ばれるのには理由が存在します。例えば自身の遺産が1億円あったとします。通常1億円から相続税が引かれ、そこから法定相続人となる配偶者や子供などに分配されるため、受け取れる遺産は少なくなってしまいます。しかし、生命保険の場合、契約者と被保険者が被相続人の場合、法定相続人一人あたりに対し500万円までが非課税対象となります。例えば受け取る保険金総額を非課税枠に納めると、相続人は保険金を受け取った後に相続税を支払わずに済むことになるのです。

具体的な例を示すと、子供が4人いる方が生命保険を利用した場合、非課税対象枠は500万円×相続人4人=2,000万円までが相続税の非課税枠となります。2,000万円以内に保険金受け取りができるよう調整すると、2,000万円がそのまま相続税なしに遺産として渡すことができるのです。また、一時払い終身保険を利用すれば払い込みをまとめて行うことができ、さらに一時払い終身保険の多くは80歳から85歳まででも契約できます。そのため、生命保険は相続の切り札といわれているのです。

節税対策以外にもメリットがある

生命保険を活用すると節税対策につながることが分かりましたが、実は節税以外にもメリットがあります。一つは被相続人の遺産が不動産だった場合、代償分割に利用できるという点です。不動産を遺産とする場合、建物や土地を相続人で分割しなくてはいけませんが、代償分割を利用すると不動産は一人に全て相続する代わりに、他の相続人には相続されるはずだった不動産相当の金額を相続することができます。この不動産相当の金額を生命保険で補えるのです。

もう一つ、納税の際に困らないという点もあります。相続税というのは基本的にまとめて納めなくてはなりません。例えば300万円の相続税がかかるという場合、300万円をまとめて納税しなくてはならないのです。遺産がすぐに手に入れば良いですが、不動産を相続した場合にまとまった金銭を用意できないとなると、不動産を売却するなどして財源を確保しなくてはいけません。生命保険を利用した場合、早い段階で保険金を受け取ることができるため、納税の際の財源確保がとても楽になります。こうしたことも生命保険を利用するメリットといえるでしょう。

生命保険を活用する際の注意点

相続の切り札となる生命保険にはたくさんのメリットが存在しましたが、逆に活用するとなると気をつけないといけない注意点も存在します。まず、契約者が被保険者か受取人かで支払う税金が変わり、相続税節税の意味がなくなってしまうという点です。

どういうことかというと、契約者と被保険者が同一の場合、受取人が支払わなくてはいけない税金は相続税となるため、上記で紹介した500万円の非課税枠が生まれます。しかし、契約者と受取人が同一だった場合、税金は相続税ではなく所得税もしくは住民税となります。つまり500万円の非課税枠が発生しないことになるのです。なかには一時所得で課税対象が軽減される場合もありますが、相続税よりも所得税・住民税のほうが多く納税しなくてはならない場合もあるので気をつけましょう。

契約者を途中変更する場合、課税対象はどうなる?

それでは、元々契約している生命保険の契約者を途中変更した際に、課税対象は変わってしまうのでしょうか。例えば契約者が夫、被保険者が妻で死亡保険金の受け取りを夫、満期保険金の受け取りを妻にした場合、通常は死亡保険金を受け取る時に夫に所得税や住民税が課税対象となり、満期保険金を受け取る時は妻に贈与税が課せられます。ここで契約者を夫から妻に変えたとします。すると夫が今まで支払っていた分の保険料、そして妻が支払った分の保険料として分割されてしまうことになります。

これは死亡保険金を受け取る場合、受取人である夫に対して、夫が今まで支払った保険料分は所得税・住民税として課税され、変更後妻が支払った保険料分は相続税として夫が納税しなくてはいけないことです。反対に、満期保険金を受け取る場合、受取人である妻に対して、夫が今まで支払った保険料分は贈与税として納税が必要となり、変更後妻が支払った保険料分は所得税・住民税として納税しなくてはいけません。ややこしいですが課税対象が変わることを知っておきましょう。

生命保険で相続税の節税をすることは可能ですし、メリットも多いですが、利用するにあたって気をつけないといけないポイントもいくつかあります。生命保険を活用した相続税対策を行う際は、税理士などとよく話し合ってから決めるようにしましょう。