教育資金の一括贈与制度とは、子や孫へ教育費を贈与する際に一定額の税金がかからないようにする制度です。この制度を活用することにより、親もしくは祖父母から子供への教育費用を円滑に支援できるようになります。

今回は、そんな教育資金の一括贈与制度を活用する際のメリットその留意点についてご紹介していきます。

教育資金の一括贈与制度ってなんだろう?




平成25年から導入された“教育資金の一括贈与制度”とは、子もしくは孫の教育に関わる資金を一括贈与する際に、贈与税の一定額を非課税(税金がかからないこと)とすることのできる制度です。

具体的な内容としては、親から子へもしくは祖父母から孫への教育資金の贈与について、最大1,500万円までが非課税となります。

この制度を利用することによって、通常の贈与では多額の贈与税がかかってしまうところを無税で渡すことができるようになるのです。

教育資金の一括贈与制度の概要】



Q.本制度を適用せずに、贈与をしてしまうとどれくらいかかるの?

A.以下の税率に合わせて課税されることになります。

【贈与税の速算表】

平成27年以降の贈与税の税率は、次のとおり、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されました。

【一般贈与財産用】(一般税率)

・直系尊属(父母又は祖父母)以外から贈与を受けた場合。

・財産の贈与を受けた年の1月1日現在において、父母又は祖父母から、子や孫(20歳未満)が贈与を受けた場合。

【特例贈与財産用】(特例税率)

この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用します。




参考:国税庁タックスアンサー>No.4408 贈与税の計算と税率

https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm

【教育資金の一括贈与制度の適用がある場合とない場合の計算例】

(1)通常通りの贈与を父から子(20歳未満)へ行った場合(教育資金の一括贈与制度の適用を受けずに)。

贈与財産=500万円(一般税率を適用)

贈与税額の計算 (500万円-110万円)☓ 20%-25万円 = 53万円

となり53万円の贈与税が課せられることになります。

(2)教育資金の一括贈与制度の適用を受け贈与を父から子(20歳未満)へ行った場合。

贈与財産=500万円(一般税率を適用)

贈与税額の計算 (500万円-110万円ー1,500万円)☓ 20%-25万円 = 税金なし

となり、税金はかかりません。

教育資金贈与の非課税枠の範囲について

では具体的にはどのような支出費用が本特例の対象となるのか確認していきましょう。

・学校に関わる教育費用

入学金・授業料・給食費・入園料・施設整備費・受験料・学用品・修学旅行費など

・学校以外に関わる教育費用

塾費用・スイミングスクール・音楽教室・ピアノ教室・絵画教室・習字など

教育資金の一括贈与制度〜5つのメリット〜




①教育資金として贈与された資金に関して贈与税が一切かからない

本制度の適用を受け贈与された金銭に関しては一切税金がかからないことになります。

そのため祖父母が子供の家庭の手助けをしたいと考え、学校費用を援助する際などにはとても良い制度であることがわかります。

②多額の教育資金を一括贈与できる。

何の非課税措置の適用も受けずに多額の資金を贈与してしまった場合、高額な贈与税率が適用されてしまいます。しかし、本制度を適用させることにより子か孫への教育資金の援助が非常にしやすくなるというわけです。

③使途を教育資金に絞ることができる

本制度を受けて贈与された金銭は、金融機関に特別な口座を開設し、教育資金の支出がある度に領収書を提出する必要があります。そして、もし教育資金以外の用途に金銭を支出させた場合や領収書の提出を怠った場合は、受贈者に贈与税がかかることになります。

そのため、受贈者(贈与を受けた者)の金銭の使途を教育資金に絞ることができるのです。

④暦年贈与(年間110万円の非課税枠)と併用できる

教育資金贈与の非課税枠は暦年贈与の年間非課税枠と併用して受けることができます。そのため、合計で年間1,610万円までの贈与を非課税とすることが可能です。

⑤相続税の課税対象から切り離すことができる

相続が発生時、相続人がその相続開始前3年以内に亡くなった人から贈与を受けたことがある場合には、その者から贈与を受けた財産を相続税の対象財産に加えることになっています。しかし教育資金の一括贈与制度の適用を受けた場合には上記の対象外となり、もし贈与者が死亡し相続が発生した場合でも相続税には加算されません。

抑えておきたい5つの留意点

①贈与を受けたものが30歳までに教育用資金を使い切れなかった場合

もし受贈者が30歳までに本制度の適用を受けて贈与された金銭を使い切れなかった場合、それ以降は贈与税がかかることになります。そのため贈与をする側は贈与額をしっかりと計算し、節税を心がけながら贈与を行う必要があるでしょう。

②教育用資金を本特例以外の使途に使用した場合

本制度の適用を受け贈与された金銭を教育資金用の使途以外に使用した場合、贈与税が課せられます。

③金融機関に領収書を提出しなかった場合

本制度の適用を受け贈与を受けた金銭を専用口座から引き出し、その使途に沿った教育資金に支出したが、専用口座を開設した金融機関に領収書を提出しなかった場合、贈与税が課せられます。

④本特例の適用を受けるためには金融機関と契約を結ぶ必要がある

本特例を受けるためには少々複雑な契約を金融機関と結ばなくてはなりません。契約の際に揃えなくてはならない書類は各金融機関によって異なりますが、必要書類として贈与契約書・戸籍謄本・健康保険証や運転免許証・マイナンバーカード・住民票・印鑑などが必要です。また、契約時には、受贈者(子・孫)と贈与者(父母・祖父母)の同席が求められており、受贈者が未成年者等の場合はその法定代理人の同席も必要となります。

⑤学校に関わるもの以外の支出に関する非課税枠は500万円まで

間違えやすいポイントとしては、学校に関わる資金の支出に関しては1,500万円まで非課税となりますが、学校以外の使途に関する教育費の支出は500万円までが非課税となっていますので注意しましょう。

教育資金の一括贈与の制度を利用する際は計画的な贈与をしよう

本制度は最大1,500万円まで無税とする画期的なものとなっています。しかしその反面、子供や孫にしっかりと資金の使徒や領収書の提出に関する内容を伝えておかないと、多額の贈与税がかかってしまいます。

もし教育資金の一括贈与の制度を利用しようとお考えになっている場合、子供もしくは孫の学費や教育費用に関して家族で話し合い、しっかりと計画をしてから贈与を行うようにしましょう。