ここでは相続が起こった際の手続きについて説明します。
相続は、9割自分で行わなくてはいけないものです。被相続人の死亡届の提出から相続税の申告まで、慣れない作業がほとんどで大変かと思います。そこでの注意点やスムーズに手続きを進めるため、下記の内容を順番に行って頂ければ、悩むことなく、スムーズに進められるでしょう。

 

 

遺産相続手続きの流れ

 

それぞれの手続きには期限があります。
まずは期限ごとに分けてやらなければいけないことなど全体の流れを説明します。

●被相続人の死亡から7日以内
・死亡届の提出
・葬儀社の手配と火葬などの手続き
・親戚への連絡
・お通夜
・葬式

●被相続人の死亡から3ヶ月以内
・四十九日
・形見分け
・香典返し
・遺言書の確認
・法定相続人の確定
・相続財産の調査
・遺産分割協議の開始
・限定承認、相続放棄の手続き

●被相続人の死亡から4か月以内
・所得税の準確定申告

●被相続人の死亡から10か月以内
・遺産分割協議書作成
・名義変更手続き
・相続税申告と納付手続き

●被相続人の死亡から1年以内
・遺留分減殺請求の期限

●被相続人の死亡から3年以内
・配偶者相続税軽減の手続きが期限

●期限なし
遺産の名義変更(相続登記)

それでは、各項目を詳しく説明していきます。

 

 

相続開始から7日以内に行う手続き

 

相続開始の手続きの第一歩は、故人(被相続人)が死亡したことを伝える手続きです。

死亡届の提出
死亡届は故人の死亡後7日以内に提出する必要があります。

手続き時に持参するもの
・死亡届:1通(届出用紙は全国共通)
・死亡診断書または死体検案書:1通
・届出人の印鑑(親族または同居者)

火葬の許可申請
火葬を行うには死亡届と火埋葬許可申請書を合わせて死亡地等の市区町村役場に提出します。市区町村役場によっては、死体火埋葬許可証交付申請書を発行してくれる場合があります。
この場合は、署名、認印だけで手続きは完了です。申請書を作成してくれない場合は市区町村役場で用紙をもらい、必要事項を記入し、認印を押して提出すれば手続きは完了です。

 

 

相続開始から3ヶ月以内の手続き

 

遺言書の有無の確認
遺産分割協議を行った後に遺言書が出てきた際には、再度遺産分割協議をやり直さなければいけません。遺言書は開け方や内容によって行う手続きが違ってきますので、よく確認しておきましょう。

法定相続人が誰かの調整を行う
法律上、法定相続人が誰になるのかを調査して確定させなければいけません。相続人となるのは、自分と身近な人であるとは限らないため、漏れが無いよう注意しましょう。万が一、ここで相続人に漏れがあった場合でも、遺産分割協議をやり直さなければいけません。

相続財産の調査
被相続人の財産をある程度把握しておかなければ、遺産分割の割合を確定することができません。また、借金を抱えていた場合のマイナス財産の扱いも決めなければいけないため、被相続人の財産を調査しましょう。「財産目録」を作っておくと便利です。

遺産分割協議を行う
遺産分割協議は、揉める原因となりやすい場面です。遺産の分割方法、誰がどの遺産を相続するかを決める場となりますが、それぞれが自分の主張を強調しなかなか進まなくなるケースが出てくることもあります。
親族同士で悲しい争族を起こさないよう、遺産分割協議の進め方を知っておきましょう。

限定承認の手続き
遺産がどのくらいあり、相続人を決めていく中で、相続人は通常通り全て(良いものも悪いものも)受け継ぐ単純承認か、一部を相続する限定承認かを選ばなくてはいけない場合があります。
主に被相続人のマイナスの財産を引き継ぐ場合に利用されることが多いですが、使い方によっては活用できる制度となります。

相続放棄の手続き
被相続人から受け継ぐ遺産のすべてを放棄する行為です。被相続人の負債が多く相続財産に価値や魅力を感じられない場合であったり、被相続人の事業を特定の相続人(長男など)に事業の引き継ぎを行う場合に、兄弟や姉妹が相続放棄を行うなどの場面で使います。相続開始から3ヶ月以内に行う必要があります。

所得税の準確定申告は相続開始から4ヶ月以内に行う
被相続人が死亡した年の1月1日から、死亡の日までの期間の所得は準確定申告という形で申請の手続きが必要になります。
この準確定申告は相続人全員が納税者となります。被相続人の所得税の申告を行う義務があり、以下に該当する場合は準確定申告が必要になります。

 

1.給与の年間収入金額が2,000万円を超える人

2.1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

3.2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
(注) 給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。

4.同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

5.災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人

6.源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人

7.退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
(1~7 国税庁HPを引用http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1900.htm)

 

 

相続開始から10ヶ月以内の手続き

 

この時期では、遺産分割協議書や相続税の申告、相続登記などを行っていく必要があります。

遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書を作成することで様々な効果があります。
「相続人全員の合意が明確になる」「無用なトラブルが減る」などです。
これは「不動産の相続登記」「預貯金や株式、自動車の名義変更の手続き」「相続税の申告」の際に必ず必要になります。
フォーマットなど決まりはありませんが、第三者が見てその内容が明確に伝わる必要があります。

相続財産の名義変更手続き
銀行口座や株式などの有価証券も名義を変更させる必要があります。不動産や土地などの相続登記や銀行の相続手続きなどの方法は必ず確認しておきましょう。

相続税の申告手続き
期限である10ヶ月以内に、遺産分割協議が終わっているということを前提とします。

遺産分割協議が完了していない場合には、税務署長から申告期限の猶予を求めるか、法定相続分で暫定的な申告を行い協議完了後に修正申告を行うことが必要になります。

 

遺留分減殺請求は相続開始から1年以内に行う

法定相続人が最低限相続できる財産を侵害されていた場合、「遺留分減殺請求」という手続きをすることが可能です。この制度は、1円ももらえない相続人が出ないことを避けるための任意制度ですので、請求してもしなくても構いません。

 

相続税軽減は相続開始から3年以内に行う

相続した財産が基礎控除を超える場合、または相続税の特例等を利用しようとする場合には申告手続きが必要です。配偶者の相続税軽減、小規模住宅地の課税価格の特例、農地等の相続税猶予などがあります。
基礎控除の金額に相続財産が収まる場合は、手続きをする必要はありません。