マイナスとなる財産がある場合や相続争いを避けたいなど、様々な理由から相続破棄を選択する方もいます。その場合、相続できるものは何もないと思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、生命保険金に関しては相続破棄をしても受け取ることができるのです。相続破棄をしても生命保険金が受け取れる理由や税金についてご紹介します。

どうして相続破棄でも生命保険金が受け取れるのか

生命保険の契約では保険料を負担する契約者と被保険者以外に、保険金を受け取るための受取人がいます。この受取人に渡る保険金は、相続という形ではなく、受取人の固有財産として渡るのです。例えば、生命保険の契約者と被保険者が夫で、生命保険金の受取人を妻にして契約したとします。この場合、夫が亡くなることで受け取れる生命保険金は夫の財産ではなく、受取人である妻の固有財産になるため、妻が相続破棄をしても保険金を受け取ることができるのです。ただし注意したいのが、生命保険金の場合は「みなし相続財産」という扱いになることです。相続破棄をしてもこれだけは相続税の課税対象となります。

生命保険金での相続のメリット

相続財産として生命保険に加入している方は多いでしょう。生命保険の場合は受取人があらかじめ設定されているため相続がしやすいです。また、渡したい人が相続破棄しても確実に渡すことができるため、相続トラブルのリスクを回避できるでしょう。

さらに、被保険者の葬式費用や納税資金として、まとまった現金が必要になることもあります。しかし、名義人が死亡すると預金は相続財産となるため、遺産分割協議が整い、手続きまで時間がかかってしまうものです。一方、保険金は請求手続きを行えば5~10日程で口座に支払われるため、急な資金調達にもメリットがあります。

生命保険金にある相続税について

相続破棄をしても生命保険金は受け取れますが、生命保険金は相続税の課税対象となってしまいます。しかし、この相続税には非課税枠があるのです。生命保険には遺族の生活を守る役割があるため、一定金額の生命保険は非課税枠が認められています。この非課税額の求め方は、500万円×法定相続人の数で算出することが可能です。この法定相続人とは相続する人や相続破棄をした人を含めた人物のことのため、非課税額を計算する場合は破棄した方も含めて計算しましょう。

例えば、契約者と被保険者である夫がなくなり、生命保険金を受取人である妻が5,000万円を受け取ったとします。しかし、子どもが相続を破棄しました。このケースでは相続人の妻と相続破棄をした子の2人が法定相続人なので、非課税額の計算は「500万×2=1,000万円」となります。つまり、5,000万円の保険金に対して、1,000万円が非課税の適応となるのです。しかし、受取人が1人だった場合はどうでしょうか。契約者と被保険者が夫で受取人が妻で、その妻が相続を破棄していると相続人にはなりません。相続人とみなされない場合は非課税対象とならないので注意しましょう。

相続破棄した場合はどのくらい税金がかかるのか

生命保険金の相続税では非課税枠がありますが、その適応は相続人がいるケースになります。そのため、相続人が1人だけで相続破棄をした場合は非課税が適応されないのです。しかし、「基礎控除」を利用することはできます。

生命保険の契約者と被保険者が夫で、相続人と受取人が妻だとします。夫が生前大きな借金があったことを理由に妻が相続破棄しましたが、生命保険金3,600万円を受け取ることができました。まず、相続税の基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人で求めることが可能です。このケースでは妻だけが法定相続人であるため、基礎控除額は3,600万円となります。そして、生命保険金の3,600万円から基礎控除額の3,600万円を引くと残りは0となるので、課税されることはないのです。

契約内容によって課税関係が変わる場合がある

生命保険金にかかる税金は相続税だけではありません。契約者、被保険者、受取人がそれぞれ違うと、税金の関係も変わってくるのです。まず、契約者と被保険者が同じ場合は、相続税となります。しかし、契約ケースでは妻が契約者と受取人、被保険者が夫という場合も多いです。この場合、妻が受け取った生命保険金は相続税ではなく、所得税となります。また、一括で生命保険金を受け取った場合は一時所得、年金形式の場合は雑所得となるため理解しておきましょう。他にも契約者が妻、被保険者が甲、受取人が子といったケースは贈与税です。

さらに、保険では満期返戻金があります。契約者と満期返戻金の受取人が同一であれば、これは所得税です。しかし、契約者と受取人が異なる場合は贈与税になります。所得税や贈与税は相続税より高いことが多いので、心配な場合は保険会社や税理士への相談がおすすめです。

このように、相続破棄をしても生命保険金は受取人であれば受け取ることが可能です。しかし、相続破棄をしている場合は相続人としてみなされないので、相続税の課税対象となってしまいます。基礎控除を利用すれば課税の負担を減らすことが可能です。また、契約内容によっては相続税ではない税金関係となるので、その点もしっかり理解しておくと良いでしょう。