自身が経営者の場合、今後の事業承継対策の方法を取らなくてはならないのですが、その対策の一つとして生命保険を活用する方法があります。他にも金庫株などでも対策を取ることも可能です。今回は生命保険や金庫株などの対策方法をご紹介します。

自社株を活用して減税できる

金庫株とは、自社が発行している株式を自社で買い取って会社で持つことです。以前は限られた目的以外では持つことができなかったのですが、平成13年に自社株の保有に関して取得目的や回数などの制限は特に設けられずに株を持ち続けることができるようになったので、金庫株とも呼ばれています。

この金庫株は、相続が発生した時などに一時的に家族が相続することになりますが、相続するには相続税を支払う必要があります。この金庫株は、自社株の評価額ではなく現時点での評価額となるので、高く評価されてしまうと相続側にも負担が重くなります。このように高く評価されてしまうと納税する金額も大きくなり、負担がかかってしまうと支払うことができなくなってしまいます。このような事態に陥ってしまった場合は、会社が一旦分配可能な金額の範囲で自社株を買取ります。買い取ることで税金がかかってきますが、家族に譲渡資金が支払われるため、この資金で相続税を支払うことができるのです。もちろん譲渡したため税金はかかってしまいますが、相続開始の翌日から3年10ヶ月以内の金庫株には、自社株の譲渡に限り配当課税が除外されるので、譲渡所得の20%の税金だけで済ませることができます。

自社株の評価を下げて税金対策

他にも自社株の評価を引き下げることで、減税対策を取ることができます。自社株は当初少額の1万円などであっても、その後の会社の経営状態や利益の伸びなどによって評価が上がる場合があります。また、評価は現時点での評価額となるため、1株当たりの金額が何十倍、何百倍になっていることもあります。この場合、自社株全てを相続してしまうと多額になってしまい納税負担が大きくなります。そのため、少しでも税金を軽減させるためには、自社株の評価額を引き下げることが必要です。

引き下げ方法として、利益を一時的に引き下げることが挙げられます。会社の規模にもよりますが、株価の評価は類似業種比準方式を採用して行われることが多いです。この類似業種比準方式では、利益金額・配当金額・純資産の3つから株価が決定されます。特に利益の影響力が大きいため、一時的な利益の引き下げによって株価全体を引き下げることができるのです。この方法は、オーナーや社長の退職と同じタイミングで退職金を支払います。それによって株価の引き下げが可能ですが、本当に退職してしまった場合、企業によっては会社の経営や業務に支障が出てきてしまう可能性があります。そのため、この手法で対策を行う場合には、高齢の社長やオーナーであり、後継者も十分に成熟している時のみ有効な活用方法となるでしょう。

生命保険で自社株の買い取り資金にする

生命保険を利用して、会社の株価の引き下げを行うこともできます。この保険は長期平準定期保険といい、長期的な保険契約で終身保険に近く、また死亡保障を受けることもできます。解約時の戻り金も高く、役員の退職金などにも活用されることが多い保険です。この保険は一定の支払金額を会社の損金に計上できる保険となるため、自社株の評価を下げることにも有効です。その他、逓増定期保険と呼ばれる契約時の保険金額が一定金額まで増加していくものもあります。期間満了となると戻り金がないのですが、途中解約時には解約時に戻り金がある特殊な保険です。保険料は経費で処理されるだけでなく、万が一の時には一度に大幅な収入を得ることができるため、保険の利用によって自社株の買い取りをすることができます。

万が一に備えて会社が契約者と保険金受取人、被保険者を社長やオーナーとするこれらの生命保険を活用すると、経営者の身に何らかの事態が発生した場合、保険金の支払いが行われる仕組みとなりますが、生命保険で対策を取る時にはいくつかの注意が必要となります。まず、保険加入には加入条件があり、年齢や健康状態、病歴の有無で加入できない場合もあります。また長期的な保険となるため、会社の経営が安定していなければ加入すら難しくなってしまうことがあるので注意しましょう。

家族経営の場合、相続時の争いを回避させる

家族や親族で会社を経営している場合、相続税対策を取る前にきちんと後継者に自社株や不動産などの引き継ぎを行っておきましょう。このような場合に問題が起こりうるのが、相続人の財産分与の配分などです。後継者が自社株を相続して会社など経営を引き継ぐようにして、他の財産を相続させることで調整するなどしましょう。また後継者が円滑に相続するために、生命保険を活用してまとまった資金を得ることも必要です。なるべく自社株の分散を防ぎ、一定の保有で経営権を得られるようにしましょう。

このように、生命保険を活用して金庫株対策を行うことができますが、様々な問題が起こってしまう可能性もあるため、なるべく早めに会社の将来を考えてどうするべきか話し合うことが大切です。また、弁護士や税理士、保険屋に相談するのもおすすめです。