相続税の決まり方をわかりやすく解説します!
平成27年の民法大改正以前まで、「相続税は一定の富裕層にしか縁のないもの」、というイメージが強い方が多かったのではないでしょうか?
しかし、この民法大改正により相続税の基礎控除額や税率が変更され、この影響により、控除額の引き下げや税率の引き上げが行われ、実質的に相続税を納めなければならなくなる国民が増えました。
本記事では、自身の相続財産に関して相続税が発生するかしないのかを、簡単に確認したいという声にお答えして“相続税の決まり方”についてご紹介していきたいと思います。
※当サイトでは相続税の計算実例を別記事にて掲載しております。ご自身の相続内容と照らし合わしながらご確認頂ければと思います。
相続税って何?
相続税とは亡くなった人から財産を受け継いだ際に、それぞれの相続人に対して課せられる税金になります。財産を受け継ぐだけなのに、「なぜ課税されるのか?」という疑問を抱く方も多いと思われますが、相続税には一箇所に富が集中することを避けたいという考えがあります。
例えば、大量の富がそのまま子に継承されてしまうと、受け継いだ子供が全く努力をせずに大金を得るばかりか、場合によってはその一族が何世代にも渡って働く必要がなくなってしまいます。もしこの様な家庭が増えた場合、経済の衰退が発生し、生まれによる不平等が著しく目立つようになるでしょう。
この様な事態を避けるためにも、相続税の設置は必要不可欠とされているのです。
相続税の対象となる財産
相続財産と聞くと、まずイメージするものは現金や不動産、有価証券、宝石類ではないでしょうか?民法によると、相続税の対象となる財産は“経済的価値のある全てのもの”と定められています。では、具体的にどの様な財産がその課税対象となるのか、確認していきたいと思います。
相続財産と判定されるもの
現金・有価証券
現金・銀行預金・株券・売掛金・貸付金・小切手・株券
不動産
土地・建物(一軒家・マンション・アパートなど)・借地権・借家権・地上権
動産
自動車・家財・宝石・貴金属類・骨董品・美術品
みなし相続財産
生命保険金・死亡退職金など
事業に関わる財産
商品・機械装置など
その他
電話加入権・ゴルフ会員権・交通事故の損害賠償請求権など
相続財産の評価方法について
これらの財産から相続税額を算出する場合、まずはその財産の価値を決定しなければなりません。実際の相続発生時に、相続財産を評価する場合、基本的に相続時の“時価”から算出すると覚えておくとよいでしょう。
①預貯金(現金)
利息を含む、口座解約時の手取額
②土地
路線価方式または倍率方式によって算出された時価の8割
③建物
固定資産税評価額によって算出された時価の4~6割
③動産(自動車、家具、電化製品など)
時価で算出※1
※1その時の中古価格から算出
中古価格がわからない場合、その商品の新品小売価格から経過年数に応じた償却費を差し引いて算出
④生命保険・死亡退職金
法律で定められた計算式(500万円☓法定相続人の数)で算出された数字を手取り金から差し引いた額
⑤上場株式
売却手取額 ※1
※1この時の売却手取額とは、下記のいずれから一番低い額を指します。
a.被相続人が死亡した日の終値
b.被相続人が死亡した月の終値の月平均額
c.被相続人が死亡した前月の終値の月平均額
d.被相続人が死亡した前々月の終値の月平均額
⑥利付公社債
売却手取額※1
※1この時の売却手取額とは、下記のいずれから一番低い額を指します。
a.発行価格+既経過利息の手取額
b.上場相場または気配相場+既経過利息の手取額
⑦割引公社債
売却手取額※1
※1この時の売却手取額とは、下記のいずれから一番低い額を指します。
a.発行価格+既経過償還差益
b.上場相場または気配相場
⑧証券
売却手取額
⑨ゴルフ会員権
時価の7割
⑩宝石・貴金属
時価で算出
⑪骨董品
時価で算出※1
※1 主に以下の4つの方法から時価を割り出します。
a.同一の骨董品の価額による評価
b.買取り価格による評価
c.鑑定価格から評価
d.購入価格を参考に評価
相続税が決定するまでの流れ
相続税の算出は大きく分けて3つのステップに分けて算出されます。
もし有効な遺言書が発見された場合はそれに従って相続を進め、その相続財産額から算出します。逆に、本人が残した“遺言書”などが特に見つからない場合は、民法で定められた法定相続人割合に基き遺産分割協議書を作成し、相続割合が決定します。
そして、相続税が課せられることになった場合、その額はそれぞれの相続人が受け継いだ相続財産の割合によって異なります。その後相続財産額に従い、法律で定められた計算方によって相続税額を計算していくことになります。
それでは、相続税が決定するまでの流れについて見ていきたいと思います。
STEP1<遺産総額を算出>
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STEP2<仮の相続税額を算出>
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STEP3<各相続人の相続税額を計算>
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まとめ
相続税は非常に複雑なステップを踏み算出されます。実は相続税の申告と納付は、法律では税理士に依頼せずに自分でも出来ることになっています。しかし、実際に書類作成から税金の計算まで自分で行った場合、ミスが非常に多く目立つのも事実です。
万が一、相続財産の申告漏れがあったり、申告・納付期限に間に合わなかったりなどの問題が発生した場合、過少申告税や延滞税が別途徴収されることになります。
これらの様なトラブルを避けるために、相続税の算出や書類作成は税理士に依頼した方が無難でしょう。