“贈与”とは、他者から資産価値のあるものを譲り受けることを指します。

しかし、この贈与には高い税率が課せられていることはご存知でしょうか?相続対策をするつもりでいたのに、不用意に財産を受け渡したことによって贈与税の対象となってしまった……ということが実際にあるのです。本記事では、知らないとついつい混同しがちな贈与と相続についてお話していきたいと思います。

贈与の基本



贈与とは、無償で自己の財産を相手に譲り渡すことを指します。この贈与は契約によって成立するとされ、口頭か書面によって財産贈与の意思を示し、贈与を受ける側がその意思を受託することによって成立します。つまり、相手側が一方的に財産を押し付けるだけでは、贈与契約は成立しないことになります。

この贈与の方法には4種類あり、単純贈与・定期贈与・負担付贈与・死因贈与となっています。

単純贈与

その都度、贈与契約を結ぶ方法

定期贈与

相手方に対し、定期的に贈与を行う方法です。例えば、3年間に渡り毎月30万円渡すなど。

負担付贈与

贈与財産をもらう側に一定の負担を強いる契約になります。例えば、5,000万円の土地を贈与する代わりに3,000万円の借金を負担させるなど。

死因贈与

生前に贈与する側と受ける側の贈与契約の合意があることを前提として、その後贈与者の死亡によって発生する贈与になります。この場合、贈与税ではなく相続税の課税対象となります。

“贈与税”の速算表をチェック

【贈与税の速算表】

平成27年以降の贈与税の税率は、次のとおり、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されました。

【一般贈与財産用】(一般税率)

・直系尊属(父母又は祖父母)以外から贈与を受けた場合。

・財産の贈与を受けた年の1月1日現在において、父母又は祖父母から、子や孫(20歳未満)が贈与を受けた場合。

 

【特例贈与財産用】(特例税率)

・財産の贈与を受けた年の1月1日現在において、父母又は祖父母から、子や孫(20歳以上)が贈与を受けた場合。


参考:国税庁・タックスアンサー>No.4408 贈与税の計算と税率https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm

贈与税の課税対象

贈与税は、贈与により取得した“経済価値のあるもの”すべてに課税されることになります。

<贈与財産例>

現金・銀行貯金・土地・建物・有価証券・自動車・宝石・貴金属など

<みなし贈与財産の例>

また、贈与には“みなし贈与”と呼ばれる財産があり、贈与契約によって手に入れた財産でなくとも贈与とみなされる場合があります。

①取引の差額

時価と比較して著しく低い価格で取引が行われた場合、その時価との差額から贈与税が算出され税金を徴収されることになります。

②生命保険

保険金の支払いを他者がしており、その場合に保険金などを受け取った場合、その受け取った保険金額から贈与税を算出され税金を徴収されることになります。

③債務の免除・代位弁済

借金などがある場合に、その債務を免除されたり肩代わりしてもらったりした場合には、その免除・代位弁済額から贈与税を算出され税金を徴収されることになります。

非課税となる贈与について知っておこう



贈与には贈与税が課せられる財産とそうではない財産があります。

①親子間において、社会通念上一般的な範囲での生活費や教育費

②離婚時の慰謝料や養育費

③特定障害者が受け取る信託財産

④公益事業に使用することが確実なもの

⑤社交場、通常と判断できる、香典・お見舞金・年末年始の贈答など

⑥相続や遺贈により財産を取得した者が、相続があった年に贈与によりすでに取得していた財産

⑦法人から個人への贈与(所得税になる)

⑧個人から法人への贈与(法人税になる)

その他の非課税となる贈与や相続税に含まれるものなど

暦年課税制度

贈与の対象となる年度の1年間(1月1日〜12月31日)の間に贈与された額が、110万円以下の場合、非課税となります。その場合、原則申告も不要となっています。

相続開始前3年以内の贈与は相続財産に含める

亡くなった人から生前に贈与された財産のうち、相続開始前3年以内に贈与されたものは、相続時に“相続税”として課税されることになります。また、相続開始前3年以内であれば非課税枠であった贈与財産かどうかに関係なく加算します。従って暦年課税制度(年間非課税枠110万円)などに該当する贈与分も加算されます。

配偶者への居住用財産の贈与の特例

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用の土地や建物や、それらを取得するための金銭の贈与があった場合、最高2,000万円まで控除することができます。この場合、暦年贈与(基礎控除110万円)も同時に適用することができます。この特例を受ける要件としては、過去に同一夫婦間で本特例の適用を受けていないこと、国内にある居住用の土地・建物であること、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに贈与された居住用不動産に引き続き住む見込みがあることなどが要件となっています。

教育資金の一括贈与に関する非課税措置(平成31年3月31日まで)

孫や子供への教育費として直系尊属が教育資金を一括贈与した場合、1,500万円までが非課税となります。

本特例の要件としては、贈与をうける側が30歳未満であり贈与側が直系尊属(父母、祖父母など)であること、教育資金に充てるためであること、金融機関等との一定の契約に基づいたものであること、になります。また、適用を受けるためには教育費の領収書を教育用資金の贈与の際に利用している金融機関に提出する必要があるので注意しましょう。

贈与税の申告と納付について

贈与税の納付が必要とされる場合、贈与を受けた者の居住地を管轄する税務所長へ申告書を提出する必要があります。

もし申告が必要である場合の贈与税申告書の提出期限は、贈与があった翌年の2月1日から3月15日までに提出します。

この贈与税の納付は贈与があった翌年の3月15日までに金銭で一括納付することになり、物納は認められていないので注意が必要です。どうしても、納付期限までに金銭で納付することが難しい場合は、その納付が困難である理由が税務署に認められれば最長で5年までの延納が認められています。

また贈与税納付時の注意点として、贈与税を延滞、過少申告してしまったり、支払いを拒否してしまったりした場合、過少申告加算税や延滞税を課せられ、さらには刑事罰などの思いペナルティを課せられることもあります。

その様な事態を招かないためにも、贈与に関する知識をしっかりと身に付け、適切な申告と納税を行いましょう。